ザもしくはジ

沖縄の話とかメンヘラの話とか全然関係ない話とか

ワッショイって犬

僕は犬が嫌いだった。

それは小3の時に柴犬に噛まれたからで、その時びぇぇぇぇぇんと泣いて以来犬はケモノだと思い避けてきたんだけど、15年前に彼女と部屋と家具を揃えた僕は何を思ったか次は犬だなと思った。

 なんとなくぼんやりと幸せ家族計画には犬が必要だと思ったんだと思う。

小さな家と大きな窓と小さなドアとまっ赤なバラと白いパンジーと子犬。

 トムとジェリーを観て育った僕は犬と言えばブルドッグ一択でネットでブルドッグについて調べた。

すると性格は温厚で飼いやすいと書いてあり、それはそれはと思い彼女に相談すると、

「でかい!!!!!!!!!!!!」

と却下されしょんぼりしていると、彼女が「でもね」と続ける。

フレンチブルドッグなら小さいで」と言うので、エスプリのきいた犬だなと思いネットで探してみる。

すると可愛い犬が沢山でてきて僕は一目惚れしてしまう。ブルドッグフランソワーヌ。あのブルドッグもフランスに渡るとこんなにもお洒落な犬に変えられるのかとフランスの底力を思い知る。

でペットショップでも見かけたことの無い犬をどうやって手に入れるのかと彼女に尋ねるとどうやら犬はブリーダーという人達から譲ってもらうのが良いらしいとの事。

なるほどと思い「フレンチブルドッグ ブリーダー」で検索する。

するとシャンゼリゼとはかけ離れたデザインのサイトばかり出てきたけど無視しながら子犬情報を見てみる。

「うぅぅぅぅぅぅ」僕は思わず唸ってしまった。犬を飼うにあたって犬のマネをしているわけじゃなく本当に唸ってしまった。値段に。

 僕はまだ学生でお小遣いをもらっている立場で、働いた事も無くお金の感覚がぼんやりしていたんだけど、そんな僕でも現実に引き戻されるには十分すぎる値段だった。

犬の値段なんて考えた事が無かった僕に命ってのはそれ相当の対価が必要なんだって事を教えてくれたんだなと納得できる程大人じゃなかった僕は、こんなのおかしいよ!だって生き物に値段付けるなんて!人間は傲慢だ!と散々駄々をこねる。そんな僕の様子を見て彼女がまぁまぁとなだめかけようとしながらモニタに映っている値段を見て「高っ!!!!」と驚く。

彼女はゴールデンレトリバーという聞くからに高そうな犬を飼っていたのに、だ。

 仏蘭西おそるべし。

お洒落はお金がかかるものなのよジャポネーゼとマダームがほくそ笑むので僕はフランス嫌いになりそうになる。

 でも諦めきれない僕はブリーダーを捜して探して捜して探して捜して探す。

するとあるブリーダーのサイトの端っこの方に一匹だけ「値段はお問い合わせ下さい」との文字があってこの場合は超高いか超安いかどちらかで、てか高い場合が殆どなんだけど素直にスクスク育ってきた僕はそんな事は知らずとりあえず問い合わせてみる事にした。

プルルルルルルルゥゥゥゥ♪「もしもし」「あっサイト見たんですけど、値段お問い合わせ下さいの子の件なんですが」「あぁあの子ねー」「いくらですかねぇ?」「言い値でいいですよ」「えっ!?」「あの子は未熟児なんですよ、ほかの兄弟と違って小さいんですよ」「それって小さいだけで健康は問題ないんですか」「元気ですよ。ただ小さいから手がかかるんで早く譲りたいんですよ」これは運命だと僕は思った。僕等の為に、今!ここに!居る!と!僕は譲ってもらおうと決心して彼女と電話を替わる。値段交渉は彼女の分野だ。

「じゃあ二万で」彼女がしれっと言う。僕は超びっくりする。するとブリーダーが今週末でいいなら二万でいいと言ってきたらしく彼女はニッコリ笑いながら「じゃあそれでお願いします」と言い電話を切る。僕はさらにびっくりする 「まじで?」「せやで」ウフフ。

僕は神様にウインクしてマダームに蹴りを入れ奇跡を手に入れる。

週末東京から飛行機でやってくる彼を迎えに伊丹空港へ向かう僕等はテンションが上がっていて「マドモアゼル」「ムッシュ」「かまやつ」ウヒヒヒヒ。とこんなレベルの会話を続けていると伊丹空港へ着き、そして彼の乗った飛行機が無事着陸する。そして荷物受け取り所へ。荷物って、と思いながら大切な新しい家族とご対面。ドキドキワクワクしながら渡されたケージを覗いてみると「ちっさ!!!!!」「おもてた以上にちっさ!!!」二人共ちょっと驚き慌てて車へと戻る。そしてケージを開けて出して見ると彼はプルプル震えていて助手席の彼女の足の上でクルクル周りだしプルプルクルクルでどっちかにすればいいのにと思いながらとりあえず彼女のパーカーのドラえもんポケットに入れてもらう。すると彼は落ち着いた様子で僕を見つめてくる。するとふわっと頭に言葉が浮かぶ。

「ワッショイ」 

「何それ?」彼女が僕に言う。

「えっ その子の名前」

「はっ?意味わからん」ギャハハハハ。

奇跡の出会いのめでたい子だからお祭り気分で「ワッショイ」

今でもぴったりな名前だと思ってる。